Instagramは、炎上しにくいSNSとは言い切れません。リールやおすすめでフォロワー以外の人にも投稿が届き、問題のある投稿はスクリーンショットでX(旧Twitter)など他のSNSにも広がるからです。企業の炎上の原因は大きく5つに分けられ、投稿前のチェック表と、起きたときの対応の順番を先に決めておけば、防ぐことも被害を小さくすることもできます。
この記事は2026年10月時点の情報です。
Instagramを活用する企業が増える一方で、「SNSは炎上が怖い」「ちょっとしたことで拡散されるのでは」と不安を感じている担当者の方は少なくありません。この記事では、企業のInstagramで炎上が起きる原因、防ぐための対策、そして炎上してしまったときの対応の手順を、具体的なチェック項目や文面の例とあわせて紹介します。
この記事はこんな人にオススメ
- Instagramで企業アカウントを運用するか迷っている方
- Instagramの炎上リスクを事前に防ぎたい企業の担当者
- 炎上したときの対処法を知りたい方
この記事で分かること
- Instagramが「炎上しにくい」と言い切れない理由
- 企業のInstagramが炎上する5つの原因と、投稿前に確かめること
- ステマ規制・景品表示法・薬機法で気をつける表現
- 運用ルールとチェック表に書いておく項目
- 炎上したときの対応の4つの手順と、おわびの文面に入れる要素
Instagramは炎上しやすい?
Instagramは写真や動画が中心のSNSで、文字のやり取りが中心のSNSに比べると、投稿をきっかけにした議論は起きにくいと言われることがあります。ただし、ほかのSNSと比べた炎上の件数を示す公的なデータは見当たらず、「炎上しにくいから安心」とは言えません。
理由は2つあります。
- フォロワー以外にも投稿が届く:Instagramは、フォロワー数にかかわらず、リールなどで新しい人に投稿が届く機会があると説明しています(2025年1月、公式のクリエイター向けブログ)。「フォロワーだけが見る閉じた場所」という前提は、今の仕組みには合いません。
- スクリーンショットで他のSNSに広がる:問題のある投稿やコメントへの返信は、画面を撮られてXなどで共有されます。元の投稿を消しても、撮られた画像は残ります。
つまり、Instagramだけを見て「ここは大丈夫」と考えるのではなく、投稿やコメントの返信が、知らない人に画像で広まっても困らないかを基準にするのが安全です。
Instagramが炎上する原因 5選

企業アカウントで炎上が起きる主な原因は、次の5つです。それぞれ、投稿前に何を確かめればよいかを表にまとめました。
| 原因 | 起きやすい場面 | 投稿前に確かめること |
|---|---|---|
| 不適切な表現 | キャプション・画像の文字・ハッシュタグ | 性別・年齢・容姿・障がい・国籍などを決めつける言葉がないか |
| 社会問題やトレンドの誤用 | 災害・事件の直後、話題のネタに乗った投稿 | 今この話題に触れる必要があるか。予約投稿が残っていないか |
| 広告の表示が不十分 | インフルエンサーへの依頼、社員が個人名で発信するアカウント | 「広告」「PR」の表示や、会社との関係が分かる書き方になっているか |
| 法律違反のリスクがある表現 | 化粧品・健康食品・サプリメントなどの紹介 | 効果を言い切る表現(治る・必ず効く など)がないか |
| カスタマー対応のミス | コメント・DMへの返信 | 冷たい言い回しや、同じ定型文の貼り付けになっていないか |
不適切な表現
企業アカウントにふさわしくない言い回しは、炎上のよくあるきっかけの1つです。特に「性別」「年齢」「容姿」「障がい」「人種・国籍」に関わる表現は、書いた側に悪気がなくても、決めつけや揶揄と受け取られることがあります。流行語を使ったつもりが、特定の文化や人をからかう意味を持っていた、というケースもあります。
直し方は、属性でひとくくりにする言葉を、状況や悩みで言い換えることです。
- 例:「女子なら誰でも喜ぶプレゼント」→「贈り物選びに迷っている方へ」
- 例:「おばさんに見えない服」→「40代からも気負わず着られる服」
- 例:「パパでもできる簡単レシピ」→「料理に慣れていない方でも作れるレシピ」
企業の発言には、個人の発言より重い責任があると受け止められます。投稿を書いた本人以外の1人が、公開前に読む仕組みを作っておきましょう(下の「投稿内容を事前にチェックしておく」で項目を紹介します)。
社会問題やトレンドの誤用

災害・政治・宗教・人権・ジェンダーに関わる話題は、発信の仕方を間違えると批判を招きます。たとえば災害の発生直後に「この機会に◯◯を試してみませんか?」と投稿すると、被災した人を軽く見ていると受け取られます。社会貢献のつもりの投稿が売名と言われたり、トレンドに乗った投稿が歴史的な背景を知らない軽率なものと批判されたりすることもあります。
防ぐには、あらかじめ「こういうときはこうする」をルールにしておきます。
- 例:大きな災害や事件が起きたら、予約している投稿をいったん止めて、内容と公開日を見直す
- 例:政治・宗教についての意見は、公式アカウントでは発信しない
- 例:流行のネタや言葉を使うときは、意味と由来を調べてから使う
公式アカウントは、担当者の個人的な意見を発信する場所ではありません。迷った話題には触れない、と決めておくのが一番確実です。
広告の表示が不十分
インフルエンサーに商品を紹介してもらう方法は、認知を広げる有力な手段です。ただし、広告であることが分からない形で投稿してもらうと、いわゆるステルスマーケティング(ステマ)として批判されるうえ、景品表示法の違反に当たるおそれがあります。
2023年10月1日から、広告なのに広告と分からない表示は景品表示法の違反になりました。押さえておきたいのは次の点です(消費者庁)。
- 規制の対象は広告を出す企業(広告主)です。企業がインフルエンサーに依頼・指示した投稿は、企業の広告として扱われます。
- 表示は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」など、誰が見ても分かる言葉で入れます。
- 文字を小さく・薄くする、たくさんのハッシュタグの中に「#PR」を埋もれさせる、といった見えにくい表示は認められません。
- Instagramには、ブランドをタグ付けすると投稿に「タイアップ投稿」と表示される機能(タイアップ投稿ラベル)があります。依頼した投稿では、これを使ってもらうよう依頼書に書いておきます。
社員が個人名で発信するアカウントも同じ考え方です。会社の商品を紹介するなら、どの会社の社員なのかをプロフィールに書いておきます。資生堂の美容部員のアカウントは、2026年10月時点で名前の欄が「CHIRO@資生堂ジャパン|37歳|時短・簡単メイク」、自己紹介が「37歳|資生堂美容部員」となっていて、会社との関係がひと目で分かります。
引用元:https://www.instagram.com/chiro_beautypartner_shiseido/
これなら、見た人が後から「会社の宣伝だと知らなかった」と感じることはありません。
法律違反のリスクがある表現

化粧品やサプリメントなど、健康や体に関わる商品は薬機法(旧・薬事法)の対象です。「絶対に治る」「100%効果がある」といった根拠のない言い切りや、医薬品ではない商品で「病気が治る」と思わせる表現は、薬機法に触れるおそれがあります。こうした投稿が広まると、批判が集まり、企業の信頼を大きく損ないます。
商品の良さを実際より大きく見せる表示は、景品表示法(景表法)の対象にもなります。景品表示法は2024年10月1日に改正法が施行され、わざと事実と違う表示をした場合に、行政の命令を経ずに罰金(100万円以下)を科せる規定が新しく入りました。あわせて、企業が自ら是正の計画を出して認めてもらう「確約手続」もできています。
インフルエンサーにPR投稿を頼むときも、投稿の文言が薬機法・景品表示法に合っているかを、企業側が公開前に確認します。違反すると、罰則のほか、おわびや返金、取引先への違約金など、企業へのダメージは大きくなります。
カスタマー対応のミス
企業のアカウントには、コメントやDMが日々届きます。この対応を誤ると、そのやり取りが画面ごと撮られて広まり、企業のイメージを下げます。たとえば、クレームに「規約に書いてあります」「対応できません」とだけ返すと、「客を大切にしていない」と受け取られます。どのコメントにも同じ定型文を貼り付ける返信も、不誠実に見えます。
防ぐには、返信のルールと文面の型を先に決めておきます。決めておく項目は次の5つです。
- コメントに返信するかどうか
- 全件に返すか、質問だけに返すか
- 口調と絵文字の使い方
- 返信する時間帯と、返すまでの目安(メンバーズ グッドコミュニケーションズの解説では、24時間以内が目安)
- 誰が返すか、判断に迷ったら誰に相談するか
会社に非があるご指摘には、「感謝→おわび→改善」の順で返します。
- 例:「ご指摘いただきありがとうございます。この度はご不便をおかけし、大変申し訳ございません。詳しい状況を伺いたく、お手数ですがプロフィールのリンクのお問い合わせフォームからご連絡いただけますでしょうか。」
個人情報や注文の詳細が必要な話は、コメント欄で続けず、別の窓口に移します。DMの返し方と例文は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
企業が炎上を防ぐための対策

企業アカウントの炎上を前もって防ぐための対策を、5つ紹介します。
SNS運用のガイドラインを作成し、共有する
投稿の基準や対応のルールを、社内で1つの文書にまとめておきます。SNS運用支援のコムニコ社によると、ガイドラインには次のような項目を入れておくとよいとされています。
- 問題が起きたときに、誰に、どの順番で連絡するか
- 投稿を作る担当と、公開を承認する担当の分け方
- 炎上しやすいテーマ(災害・政治・宗教・ジェンダーなど)を扱うときのルール
- 担当者の研修の内容と時期
ここに、上で紹介したコメント返信の5つのルールと返信の型も加えます。作って終わりにせず、Instagramの機能が変わったときや担当者が替わったときに見直します。
SNS発信による炎上リスクを事前にチェックする

自社の業界や商品ならではの「燃えやすい点」を、先に書き出しておきます。業界によって注意する点は違います。
- 例:化粧品・健康食品の会社なら、効果の言い切り(薬機法・景品表示法)
- 例:飲食店なら、衛生面が疑われる写真や、アレルギーに関わる表示
- 例:採用の発信なら、性別や年齢で仕事を決めつける表現
書き出したものは、下のチェック表の項目に足しておくと、毎回の確認に組み込めます。
SNS運用担当者の教育を徹底する
SNSの発信は、企業の印象を大きく左右します。担当者が替わっても同じ品質で運用できるよう、研修で次の内容を伝えておきます。
- 社内で定めたSNS運用のルールとガイドライン
- ステマ規制・薬機法など、投稿に関わる法律の基本
- パスワードの管理など、情報セキュリティの基本
- 担当者の個人アカウントで、会社のことを書くときの注意
コンプライアンス研修の一部として、年に1回など時期を決めて行うと続けやすくなります。
炎上時の対応マニュアルを作成しておく

炎上したときに慌てないよう、対応の順番と担当を文書にしておきます。最低限、次の3つを決めておけば、初動で迷いません。
- 最初に連絡する人(運用責任者・広報・法務など)と、夜間や休日の連絡先
- 事実を確認している間に出す、最初のお知らせの文面
- 投稿を消す・残すを判断する人
具体的な手順と文面は、この記事の最後の「もし炎上してしまったら?」で紹介します。
投稿内容を事前にチェックしておく
一度投稿した内容は、消してもスクリーンショットで残ります。公開前に、作った人とは別の人が次の項目を確かめます。
- 誤字・脱字、商品名・価格・日付の間違いがないか
- 特定の誰かを傷つける表現や、属性で決めつける言葉がないか
- 誤解を招く画像やハッシュタグがないか(写り込んでいる人・物も含めて)
- 依頼した投稿・提供した商品の投稿に「広告」「PR」の表示があるか
- 化粧品・健康食品の効果を言い切っていないか
- 災害や大きな事件の直後に出す内容として、ふさわしいか
- 承認する担当者が、公開前に確認したか
※1〜3と7はコムニコ社が挙げている項目、4〜6はこの記事で足した項目です。
公開後のコメント欄には、Instagramのコメントの設定が使えます。不適切と思われるコメントを自動で見えにくくしたり、指定した言葉を含むコメントを表示しないようにしたりできます。項目の名前と場所はアプリの表示で確認してください。ただし、正当なご意見まで見えなくすると、「都合の悪い声を消した」と受け取られることがあります。隠す言葉は、暴言や中傷に限って登録します。
株式会社ハッシュタグでは累計500件以上のアカウント運用を支援してきましたが、炎上対策で最初に決めていただくのは、「公開前に誰が確認するか」と「何かあったとき最初に誰へ連絡するか」の2つです。この2つが決まっていれば、チェック表も対応マニュアルも、その人を中心に動かせます。
もし炎上してしまったら?適切な対処法 4Step
炎上したときは、事実を確かめる → 最初のお知らせを出す → おわびと説明を出す → 再発防止を示して運用を戻すの順に進めます。中小企業の支援機関である中小機構のJ-Net21も、事実の把握、誠実なおわびと説明、再発防止策の公表、社内での情報共有という流れを示しています。
まず、何が問題になっているのかを確かめます。確認するのは「どの投稿・どの返信か」「何が批判されているか」「どこで広がっているか(Instagramのコメント欄か、Xなど他のSNSか)」「どのくらいの規模か(批判のコメントの数、お店や会社への電話・問い合わせがあるか)」の4つです。マニュアルで決めた連絡先に、この4つを伝えます。
事実の確認に時間がかかるときは、黙ったままにせず、早めに状況を伝えます。コムニコ社は、最初の対応として「現在、事実関係を確認しております」と速やかに発信することを挙げています。
このとき、問題の投稿はまだ消さないのが原則です。事実を確かめる前に消すと、「火消し」「証拠を隠した」と受け取られ、かえって批判が強まります。
事実が分かったら、原因に合わせて対応を変えます。
- 会社に非がある:おわび、経緯、再発防止策を出す
- 会社に非がない:誤解を招いた点があればその部分をおわびし、客観的な事実で見解を示す
- まだ分からない:調査中であることと、次にいつ報告するかを伝える
おわびの文面には、おわびの言葉・何が問題だったか・経緯(原因と責任)・今の対応・再発防止策の5つを入れます。「ご不快に思われた方がいらっしゃれば」のように、問題を受け取った側の気持ちにすり替える書き方は避けます。また、画像やPDFだけで出すと読みにくく、検索でも見つけにくいため、文章(テキスト)で出します。Instagramでは、フィード投稿やストーリーズで知らせ、自社サイトにも同じ文を載せておくと確実です。
問題の投稿を消すかどうかは、説明とおわびを出したあとに判断します。消す場合は、消したことと理由も添えます。予約していた投稿はいったん止め、批判が落ち着いてから再開します。再開した後は、原因になった点をチェック表とガイドラインに書き足し、同じことが起きない仕組みにします。
よくある質問
- Instagramは、ほかのSNSより炎上しにくいですか?
-
炎上しにくいとは言い切れません。写真や動画が中心で議論が起きにくいと言われることはありますが、リールやおすすめでフォロワー以外にも投稿が届き、スクリーンショットで他のSNSにも広がります。ほかのSNSと同じように、投稿前のチェックと対応の準備が必要です。
- 炎上したら、問題の投稿はすぐに削除すべきですか?
-
すぐには削除しません。事実を確かめる前に消すと、隠したと受け取られて批判が強まります。まず「事実関係を確認しております」と知らせ、説明とおわびを出したあとに、消すかどうかを判断します。
- インフルエンサーのPR投稿で、ステマ規制の対象になるのは誰ですか?
-
対象は、投稿を依頼した企業(広告主)です。企業が依頼・指示した投稿は企業の広告として扱われるため、「広告」「PR」などの分かりやすい表示が入っているかを、企業側が確認します。Instagramのタイアップ投稿ラベルを使ってもらうよう依頼しておくと確実です。
- 批判的なコメントは、非表示や削除をしてもいいですか?
-
暴言・中傷・スパムは、非表示や削除をしてかまいません。一方、商品やサービスへの正当なご意見まで隠すと、「都合の悪い声を消した」と受け取られます。正当なご意見には、感謝・おわび・改善の順で返信し、詳しい話は問い合わせ窓口に移します。
まとめ
Instagramは、炎上しにくいSNSとは言い切れません。フォロワー以外にも投稿が届き、スクリーンショットで他のSNSにも広がるからです。
企業の炎上の原因は、不適切な表現、社会問題やトレンドの誤用、広告の表示の不足、法律違反のリスクがある表現、カスタマー対応のミスの5つです。公開前に別の人がチェック表で確かめること、炎上したときの連絡先と最初のお知らせの文面を決めておくことで、多くは防げますし、起きても被害を小さくできます。運用ルールやチェック表づくりで迷ったときは、株式会社ハッシュタグでもご相談を受け付けています。
参考にした情報(2026年10月18日に確認。公式=Instagram・Meta や公的機関の発表、報道・解説記事=第三者の情報)
- Instagram公式クリエイター向けブログ(2025年1月、フォロワー数にかかわらず新しい視聴者に届く機会)(公式)
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制」(公的機関)
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」(公的機関)
- J-Net21(中小機構、2025年7月、SNSで炎上したときの対応)(公的機関)
- BUSINESS LAWYERS(2024年10月施行の改正景品表示法、直罰規定・確約手続)(解説記事)
- データ・マックス(改正景品表示法の施行)(報道)
- コムニコ(2026年8月、SNSの炎上対策・ガイドラインの項目・最初の対応・おわびの文面)(解説記事)
- メンバーズ グッドコミュニケーションズ(2024年8月、返信の目安と例文の型)(解説記事)
- ジールセキュリティ(2025年2月、コメント返信のルールの項目)(解説記事)
- 資生堂の美容部員のInstagramアカウント(名前の欄と自己紹介)(公式アカウント)






