中小コスメブランドのインスタ運用は、大手のように世界観を見せる投稿から始めるより、成分の配合目的・使う順番・悩み別の選び方といった「役に立つ情報」と、作り手や社員の顔が見える発信から始めるほうが、知名度がなくても見てもらえます。ただし化粧品は、言ってよい効能が「化粧品の効能の範囲」の56項目に限られ、販売促進に関わる社員が自社商品をすすめる投稿には、「PR」などの表示が要る場合があります。この2つのルールを先に社内で決めてから投稿を始めてください。
この記事は2026年10月時点の情報です。
悩む子大手コスメのアカウントを参考にして投稿しているのに、フォロワーが増えません…。
ハビット中小ブランドには、中小ブランドの戦い方があるよ。言っていいことのルールと一緒に見ていこう!
この記事はこんな人にオススメ
- 大手コスメのアカウントを参考にしても、フォロワーが伸びない中小コスメブランドの担当者
- 化粧品の投稿で、どこまで効能を書いてよいか迷っている方
- 社員が自社商品を紹介する投稿を始めたい会社
この記事で分かること
- 大手コスメブランドの運用を、そのまま真似しても伸びにくい理由
- 中小ブランドが取り組みやすい4つの発信と、投稿の例
- 化粧品の投稿で言ってよいこと・いけないこと(効能の56項目と言い換えの例)
- 社員が自社商品を紹介するときの「PR」表示(消費者庁のQ&A)
- 運用を始める前に社内で決めておく項目
大手ブランドのInstagram戦略の特徴
大手コスメブランドの公式アカウントは、写真の色味・トーン・構図をそろえ、雑誌のように世界観を作り込んだ投稿が中心です。新作のビジュアルを見ただけで「このブランドだ」と分かる作りになっています。
たとえばKATE(ケイト)の公式アカウントは、2026年10月時点でフォロワー約24.4万人です。自己紹介には「新商品情報・メイクレシピを発信中!」とあり、新作のビジュアルに加えて、メイクのやり方も発信しています。世界観と情報の両方がありますが、どちらも「KATEの新作だから見たい」というファンがいることで反応が集まります。下の投稿は、新商品のファンデーションの発売を知らせるものです。
引用元:https://www.instagram.com/kate.tokyo.official_jp/
つまり大手の運用は、すでにブランドが知られていることが前提です。知名度のないブランドが同じ見せ方をしても、見た人には「知らないブランドのきれいな写真」にしか映りません。
ただし、投稿の自由度は高くない
大手の公式アカウントは、ブランドの世界観を守ることが優先されます。投稿は自社商品の紹介が中心になり、他社の商品を紹介したり、担当者の個人的な目線で語ったりする投稿は少なくなりがちです。
その分、フォロワーとの距離はやや遠くなります。「乾燥する季節に何を足せばいいか」「この色は自分の肌に合うか」といった、使う人の身近な疑問に答える投稿は、中小ブランドのほうが出しやすい分野です。
中小コスメブランドがインスタで伸び悩む理由とは?
中小コスメブランドが伸び悩む一番の理由は、知名度がないまま大手と同じ「商品のきれいな写真」だけを投稿していることです。見た人には保存する理由もフォローする理由もないので、反応が集まらず、フォロワー以外にも広がりません。
よくある投稿の中身と、見た人の受け取り方を並べると、次のようになります。
| 投稿の中身 | 知らない人の受け取り方 | 中小ブランドの直し方 |
|---|---|---|
| 新商品の写真と「発売しました」 | 知らないブランドの告知なので素通りする | 「誰の、どんな悩みに向けた商品か」を1枚目に書く |
| 世界観をそろえたイメージ写真だけ | きれいだが、見返す理由がない | 使う順番・量など、保存して見返せる情報を足す |
| キャンペーン・割引のお知らせだけ | 買う気のある人にしか届かない | 悩みの解決策を先に見せ、最後に商品を案内する |
| 商品名だけのキャプション | 何が分かる投稿か伝わらない | 検索されそうな言葉(例:「乾燥肌 化粧水 順番」)を文中に入れる |
大手は「ブランドを知っている人」に向けて投稿し、中小は「まだ知らない人」に向けて投稿する、という違いがあります。知らない人が反応するのは、商品そのものより、自分の悩みが解決しそうな情報です。
ハビット大手はすでにファンがいるから、世界観中心の運用でも反応が集まるんだ。まだ知られていないブランドは、先に「役に立つ」で知ってもらおう!
発信の軸を変えれば戦える!中小企業だからこそできるInstagram戦略
中小コスメブランドの強みは、発信の自由度が高いことです。成分の話、使う場面、作り手の声、売り場のトレンドまで、自社の判断で投稿できます。ここでは、取り組みやすい4つの発信を紹介します。
どの発信から始めるかは、運用の目的で決まります。認知を広げたいのか、ECサイトでの購入につなげたいのかで、見る数字も変わります。目的と見る数字の決め方は、次の記事で解説しています。
美容知識の発信(言ってよい言葉の範囲で書く)
成分の解説、使う順番、塗り方のコツなどの美容知識は、保存して見返してもらいやすい投稿です。ただし化粧品の投稿は、薬機法と広告の基準に沿って書く必要があります。社員アカウントの投稿も同じです。
化粧品でうたえる効能は、厚生労働省の通知で定められた「化粧品の効能の範囲」の56項目に限られます。2011年7月21日の通知で「乾燥による小ジワを目立たなくする。」が加わりました。はっきり書かなくても、効能を思わせる暗示的な表現も規制の対象(薬機法66条)になります。「個人の感想です」と添えても、違法な表現は違法のままです。
投稿でよく使いがちな言い方と、書き直しの方向は次のとおりです。
| 避ける言い方(例) | 理由 | 書き直しの方向(例) |
|---|---|---|
| 「シミが消える」「若返る」「老化防止」 | 56項目の範囲を超える効能になる | 56項目にある言葉で書く(例:「乾燥による小ジワを目立たなくする」は56項目にある言葉。「シミが消える」は無い)。どの言葉を使えるかは、商品ごとに薬事の担当者と確かめる |
| 「100%無添加」「完全無添加」 | 強調した「無添加」は認められていない | 何を含んでいないかを書く(例:「香料を配合していません」) |
| 「ヒアルロン酸たっぷり」だけ | 特定の成分を目立たせるときは配合目的の併記が要る | 成分名に配合目的を添える(例:「ヒアルロン酸Na(保湿成分)配合」) |
| 「使ったらすぐ実感(個人の感想です)」 | 注記を付けても、効能の言い切りは違法のまま | 使う場面や手順の話に置き換える |
この範囲の中で書きやすい投稿の型は、次の3つです。
- 成分の配合目的の解説:例「この美容液に入っている3つの成分と、それぞれの配合目的」。効果の約束ではなく、なぜ入れたかを説明します
- 使う順番・量・塗り方の手順:例「化粧水はパール粒2つ分、手のひらで温めてから3回に分けてなじませる」。カルーセルなら1枚に1つの手順を書きます
- 季節や悩み別の選び方:例「乾燥しやすい季節の、朝と夜のスキンケアの違い」。効能を言うところだけ、56項目の言葉を使います
500件以上のアカウント運用に関わってきた株式会社ハッシュタグでは、コスメブランドの立ち上げの際、最初に「投稿で使ってよい効能の言葉の一覧」を社内で作り、投稿の文面をその一覧と照らしてから公開する進め方をおすすめしています。担当者が替わっても、言い方がぶれません。
美容 × ライフスタイル(使う場面を見せる)
商品の紹介だけで終わらせず、生活のどの場面で使うのかを見せると、見た人は自分のこととして受け止めやすくなります。投稿の切り口の例は次のとおりです。
- 例:「出勤前5分でできるベースメイクの順番」
- 例:「仕事帰り、疲れていてもできるクレンジングの手順」
- 例:「旅行に持っていくスキンケアの詰め替え方」
この見せ方は、大手の社員アカウントでも使われています。下の投稿は、資生堂の美容部員が個人の名前で発信しているアカウント「CHIRO」のリールで、夜のスキンケアの流れを、使うアイテムと一緒に見せています。
引用元:https://www.instagram.com/chiro_beautypartner_shiseido/
中小ブランドなら、商品を作った担当者や、問い合わせに答えているスタッフが同じ形で発信できます。社員を前に出す運用の進め方は、次の記事で詳しく解説しています。
社員のリアルな発信(表示の仕方を先に決める)

社員が実際に使っている自社商品を、自分の言葉で紹介する投稿は、「この人のおすすめなら使ってみたい」というファンづくりにつながります。ただし、自社商品をすすめる社員の投稿は、会社の広告として扱われることがあります。
消費者庁のステルスマーケティングのQ&Aでは、従業員の投稿がすぐに違反になるわけではないとしたうえで、立場や担当業務、投稿の目的によっては「事業者の表示」になると説明しています。たとえば販売促進の担当チームの一員が、商品の販売を促す投稿をする場合です。SNSの担当者が販売促進も兼ねている会社では、自社商品をすすめる投稿は広告として扱う前提で準備します。
投稿の前に決めておくのは、次の3つです。
- 表示の言葉:「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」のどれを使うか(消費者庁のQ&Aで挙げられている言葉です)
- 表示の場所:キャプションの冒頭や画像の中など、見た人がすぐ分かる位置。たくさんのハッシュタグの中に紛れさせない
- プロフィールの書き方:「〇〇(ブランド名)の商品開発担当です」など、所属も書く。ただし所属を書くだけでは足りないので、1と2の表示もする
キャプションの書き出しの例は次のとおりです。
例:「【PR】〇〇(ブランド名)の商品開発担当の△△です。今日は、自社の新しいクレンジングを、私が毎晩どう使っているかを紹介します。」
トレンドまとめ系の発信(自社で撮って、公平に比べる)
「2026年秋に注目のリップの色まとめ」「乾燥の季節に見直したいスキンケアの順番」のように、自社商品に限らずトレンドをまとめる投稿も、中小ブランドならではの発信です。役に立つ情報であれば、商品の宣伝でなくてもフォローの理由になります。
作るときの決まりは3つです。
- 写真と動画は自社で撮る:他社の画像や動画をそのまま並べると、著作権の問題があるうえ、Instagramでは「オリジナルではない投稿」として扱われます。Instagramは2026年4月30日、オリジナルの投稿を優先して表示し、ほかの人の投稿に枠や字幕、クレジットを付けただけの再投稿はオリジナルとみなさない方針を発表しました
- 自分の言葉で選んだ理由を書く:例「今回は、色の持ちと塗りやすさの2つで選びました」。選んだ基準を先に書くと、まとめ投稿に自社の視点が出ます
- 他社の商品を下げない:比べるときは、同じ基準で並べて、自社商品だけを持ち上げる書き方にしない
型の例として、@cosme TOKYO(アイスタイルの店舗)の美容部員のアカウントの投稿を引用します。2026年10月時点のフォロワーは約2,900人で、最新の投稿は2026年8月25日です。売り場のスタッフが、自分の目線で商品を選んで紹介する見せ方です。フォロワーの多さではなく、選ぶ基準を自分の言葉で書くことで成り立つ型の例です。
引用元:https://www.instagram.com/uton_atcosmetokyo/(2024年の投稿)
4つの発信に共通するのは、「売るため」より先に「知ってもらう・役に立つ・共感される」投稿を出すことです。商品の案内は、その投稿の最後の1枚や、プロフィールのリンクで行います。
企業として守るべきルールとモラル
社員を前に出す運用や、他社商品も扱うまとめ投稿は、発信の自由度が高い分、会社としてのルールを先に決めておく必要があります。決めずに始めると、担当者ごとに表示や言い方がばらばらになります。
会社名を隠して自社商品を紹介するのはNG
A社の社員が、ただの一般の利用者のふりをしてA社の商品をすすめるのは、ステルスマーケティング(ステマ)にあたるおそれがあります。2023年10月1日から、広告なのに広告と分からない表示は、景品表示法の違反になりました。規制の対象は、広告を出す事業者、つまり会社です。
注意したいのは、「会社に所属していることを書けば足りる」わけではない点です。消費者庁のQ&Aは、「私は〇〇社の社員です。」のように所属が書かれているだけでは、広告であることがはっきり分かるとは必ずしもいえない、としています。自社商品をすすめる投稿には、「広告」「PR」などの表示を入れます。
なお、Instagramの「タイアップ投稿」のラベルは、ブランドなどのビジネスパートナーから報酬を受けた投稿に付ける機能です。社員が自社商品を紹介する投稿では、キャプションや画像の中の「PR」表示で対応します。
他社商品の紹介は会社方針とルール次第
他社商品を紹介するかどうかは、会社の方針として先に決めます。紹介する場合は、次の3つを守ります。
- 他社の商品を意図的に下げる書き方をしない
- 紹介する理由と、評価した点をはっきり書き、誤解を生まないようにする
- 競合の商品と比べるときは、同じ基準で公平に比べる
ここまでの内容を、運用を始める前に社内で決めておく項目として表にまとめると、次のようになります。
| 決めておく項目 | 決める中身(例) |
|---|---|
| 自社商品の表示 | 表示の言葉(「PR」など)と位置(キャプションの冒頭) |
| 他社商品の扱い | 紹介してよいか/比べるときの基準/他社の画像を使わない |
| 効能の言い方 | 使ってよい言葉の一覧(56項目の範囲)と、使わない言葉の一覧 |
| 公開前の確認 | 誰が確認するか(例:担当者が書き、品質や薬事の担当者が確認してから公開) |
公開前のチェック表の作り方と、問題が起きたときの対応は、次の記事で解説しています。
中小コスメブランドのインスタ運用の始め方
ここまでの内容を、始める順番に並べ直すと次の5つです。
- 目的を1つ決める:例「ECサイトの〇〇(商品名)の購入につなげる」
- 言い方のルールを作る:効能の言葉の一覧、「PR」表示、公開前の確認者を決める
- 投稿の柱を3つ決める:例「成分と使い方」「使う場面」「作り手の声」。この記事の4つの発信から選びます
- プロフィールを整える:誰に向けた、どんなブランドかを1行で書き、ECサイトへのリンクを置く
- 数字を見て直す:保存数やプロフィールへのアクセスが多い投稿の柱を増やす
投稿のネタに困ったときは、次の記事の考え方が使えます。
よくある質問
- 中小コスメブランドは、インスタで何から投稿すればいいですか?
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成分の配合目的や使う順番など、保存して見返せる美容知識から始めます。知名度がないうちは、商品の写真だけでは反応が集まりにくいためです。効能を言うところは、56項目の言葉の範囲で書きます。
- 社員が自社商品を紹介するとき、所属を書けば大丈夫ですか?
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所属を書くだけでは足りません。消費者庁のQ&Aでは、「私は〇〇社の社員です。」と書くだけでは、広告とはっきり分かるとは必ずしもいえないとされています。「PR」「広告」などの表示を、キャプションの冒頭など分かる位置に入れます。
- 「個人の感想です」と書けば、効果を言い切ってもいいですか?
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いいえ、注記を付けても違法な表現は違法のままです。化粧品でうたえる効能は「化粧品の効能の範囲」の56項目に限られ、暗示的な表現も規制の対象です。使う場面や手順の話に置き換えて書きます。
- 他社のコスメを紹介するまとめ投稿をしてもいいですか?
-
会社の方針で認めていれば、してかまいません。その場合は、写真を自社で撮り、選んだ基準を書き、他社の商品を下げない書き方にします。他社の画像や動画をそのまま使うと、著作権の問題があり、Instagramでもオリジナルではない投稿として扱われます。
まとめ
大手コスメブランドの世界観中心の運用は、すでにブランドが知られていることが前提です。中小ブランドは、美容知識・使う場面・社員の声・トレンドのまとめといった、知らない人にも役に立つ発信から始めます。
その前に、効能の言い方(56項目の範囲)と、自社商品の「PR」表示、公開前の確認者を社内で決めてください。ルールが先にあれば、社員が自由に発信しても、言い方がぶれません。
自社ブランドの投稿の柱の決め方や、言い方のルール作りで迷ったときは、株式会社ハッシュタグでもご相談を受け付けています。
参考にした情報(2026年10月18日に確認。公式=Instagram・行政機関の情報、報道=ニュースサイトの記事、解説記事=広告・SNS運用の会社などの記事、企業の実例=公式アカウントの表示)
- 消費者庁 ステルスマーケティングに関するQ&A(従業員の投稿・表示の言葉・所属の明示)(公式)
- 消費者庁 ステルスマーケティングの案内(2023年10月1日から景品表示法の違反に)(公式)
- 新潟県(化粧品の広告で使える効能の範囲と表現の注意)(公式)
- Instagram クリエイター向けブログ(2026年4月30日、オリジナルの投稿を優先する方針)(公式)
- 薬事日報(化粧品の効能の範囲に「乾燥による小ジワを目立たなくする」を追加)(報道)
- LINEヤフー for Business(2022年2月、化粧品の広告表現・無添加・配合目的の併記)(解説記事)
- KATE 公式Instagram(フォロワー数・自己紹介)(企業の実例)
- CHIRO@資生堂ジャパン(美容部員が個人の名前で発信するアカウント)(企業の実例)
- UTON MITSUE / @cosme美容部員(フォロワー数・最新の投稿日)(企業の実例)








