中小企業のInstagramの成功事例に共通するのは、広告費に頼らず、「お店に行く理由」や「商品を選ぶ理由」を投稿で見せていることです。この記事では、町の書店・エシカル商品のお店・体験型カフェの3社を取り上げ、何を発信し、どうやって来店や購入につなげているかを、自社でまねできる形に分けて解説します。
この記事は2026年10月時点の情報です。
この記事はこんな人にオススメ
- Instagramの運用に興味がある中小企業の経営者・担当者
- フォロワーが増えず、思うように結果が出ていない方
- Instagramを来店や購入につなげたい方
この記事で分かること
- 中小企業がInstagramを運用する4つのメリット
- 中小企業3社の事例と、来店・購入につなげる仕掛け(2026年10月時点のフォロワー数つき)
- 事例から自社にまねできる「型」と、投稿の文言の例
- 公式の説明に沿った、投稿を届けるための作り方
中小企業がInstagramを運用するメリット

中小企業にとってのメリットは、次の4つです。
広告費が削減できる
Instagramは、アカウントの開設も、ふだんの投稿も無料です。かかるのは、撮影と投稿づくりの時間です。広告を出す場合も予算は自社で決められるので、まずは広告なしで投稿を続け、反応の良かった投稿だけに広告費をかける、という順番で進められます。
Instagram広告の始め方と予算の決め方は、次の記事で解説しています。
認知拡大できる
Instagramは、フォロワーではない人にも投稿をおすすめする仕組みを持っています。2025年1月の公式の説明では、フォロワーの数にかかわらず、新しい人に届く機会があるとしています。会社の規模や知名度に関係なく、投稿の中身で見つけてもらえる場所です。
顧客との距離を縮め、ファンを作れる
Instagramでは、コメントやDM、ストーリーズのアンケートで、お客さまと直接やり取りできます。店頭で話す機会が少ないお客さまとも、投稿を通じて関係を続けられます。たとえば地域のお店なら、ストーリーズで「来週の限定メニュー、AとBどちらが食べたいですか?」と聞き、多かったほうを実際に出すだけでも、お客さまが参加するきっかけになります。
お客さまを継続して応援してくれるファンに変える進め方は、次の記事で解説しています。
インスタグラムショッピング機能で売上促進
自社のECサイトがある企業は、ショッピング機能で投稿に商品タグを付け、ECサイトの商品ページへ案内できます。日本では、Instagramのアプリの中で支払いまでは完了せず、購入は自社のECサイトで行います。そのため、ECサイトがあることが前提です。導入の条件と手順は、次の記事にまとめています。
中小企業のアカウント成功事例をご紹介!
ここからは、中小企業が運用している3つのアカウントを紹介します。フォロワー数は2026年10月18日に確認した数字です。3社に共通するのは、フォロワー数を追うより先に「お店や商品を選ぶ理由」を投稿で見せている点です。
| アカウント | 業種 | 発信の軸 | まねできる型 |
|---|---|---|---|
| Seiwado.Book.Store.(約23.7万人) | 町の書店 | 本の紹介と、オリジナルのブックカバー | 来店した人だけがもらえる物を作り、動画で見せる |
| エシカルな暮らし(約8万人) | エシカルな商品のメディア・お店 | 暮らしの中でできる社会課題への取り組み | お客さまが関心を持つテーマを、商品の話より先に伝える |
| CREA BASE(約7.8万人) | 体験型のアート&クラフトのカフェ | 作品ができていく様子と、体験の流れ | 「行ったら何ができるか」を最初から最後まで見せる |
エシカルな暮らし|毎日にちょっと、未来を想うひとときを

「エシカルな暮らし」(@ethikura)は、環境や社会に配慮した商品と、その背景にある社会課題を発信しているアカウントです。2026年10月時点のフォロワーは約8万人(7.99万人)で、10月に入ってからも投稿が続いています。表示名は、以前の「消費の裏側で悲しむ人を0にするお店」から「毎日にちょっと、未来を想うひとときを」に変わりました。上の画像は2025年2月の表示で、表示名は以前のものです。
Instagram運用の成功ポイント
引用元:https://www.instagram.com/ethikura/reels/
このアカウントは、気候変動や海洋プラスチックのような大きなテーマを、リールで短く分かりやすく伝えています。商品の説明から入るのではなく、見る人が「知っておきたい」と思うテーマから入り、その延長で商品を紹介する順番です。
自社でまねするときは、商品が解決する「お客さまの関心ごと」を先に決めます。たとえば国産の木を使った家具店なら、次のような順番です。
- 例(冒頭):「家具を選ぶとき、木がどこから来たか気にしたことはありますか?」
- 例(本題):国産の木を使うと何が変わるかを、3つの場面で見せる
- 例(締め):「当店の家具は、すべて◯◯県の木で作っています。店頭で手に取ってみてください」
アカウントで何を一貫して伝えるかを一文に決める手順は、次の記事で解説しています。
Seiwado.Book.Store.|オリジナルのブックカバーで来店の理由をつくる書店

「Seiwado.Book.Store.」(@seiwado.book.store)は、町の書店「正和堂書店」のアカウントです。2026年10月時点のフォロワーは約23.7万人で、10月に入ってからも投稿が続いています。上の画像は2025年2月の表示です。
報道によると、正和堂書店は2017年ごろからInstagramでの発信を始め、スタッフのおすすめの本やランキングを紹介してきました。転機になったのが、オリジナルのブックカバーです。カバーは本を買った人に無料で付け、デザインは店主の小西康裕さんが手がけています。小西さんは、SNSの画面で映えるよう陰影をはっきりさせることや、季節感を出すことを意識していると話しています。2023年からは牛乳石鹼共進社とコラボし、「赤箱」をまねたカバーも作りました。
Instagram運用の成功ポイント
引用元:https://www.instagram.com/seiwado.book.store/(2024年の投稿)
この事例から取り出せる型は、「お店に来た人だけがもらえる物を作り、その物を動画で見せる」です。本はどこでも買えますが、このカバーは正和堂書店で買わないと付きません。動画でカバーを見た人に、わざわざその店で買う理由ができます。
ほかの業種に置き換えると、次のような形です。
- パン屋:季節ごとに絵柄が変わる紙袋。例「10月の袋はこの柄です。今月だけの袋で包みます」
- 花屋:店頭で選べるリボンや包み紙。例「包み紙は5色から選べます。今日は秋色の3色が入荷しました」
- 工務店:完成見学会の来場者に渡す、間取りの冊子。例「見学会で、この家の図面と工夫をまとめた冊子をお渡しします」
カバーのデザインを「SNSの画面で映えるように」作っている点もまねできます。物を作る段階から、スマホの縦長の画面でどう見えるかを考えると、動画にしたときに伝わりやすくなります。
物を見せる動画は、撮り方を決めておくと毎回迷いません。たとえば次の3つの撮り方を順番に使い回すと、同じ物でも見せ方が変わります。
- 並べる:季節の柄を机に並べ、1枚ずつ手に取る
- 使う:本にカバーを巻く手元を、真上から撮る
- 比べる:去年の柄と今年の柄を左右に置き、違いを見せる
CREA BASE|絵画とモノづくりを楽しむ大人の秘密基地

「CREA BASE」(@creabase.jp)は、絵を描いたりモノづくりをしたりできる、体験型のカフェのアカウントです。自己紹介は「絵画とモノづくりを楽しむ大人の秘密基地」で、2026年10月時点のフォロワーは約7.8万人(7.83万人)です。自己紹介によると、店舗は東京の押上と新宿御苑前にあり、名古屋は6月にオープン、大阪は近日オープン予定で、東京の外にも広がっています。上の画像は2025年2月の表示です。
Instagram運用の成功ポイント
引用元:https://www.instagram.com/creabase.jp/reels/(2023年の投稿。キャプションの店舗の案内は、名古屋・大阪の店舗ができる前のものです)
体験型のお店は、行く前に「何ができるのか」「初心者でも大丈夫か」が分からないと予約されません。CREA BASEは、作品ができていく様子や、スタッフが登場する動画で、体験の流れを見せています。
体験を見せるリールは、次の4つの場面で組むと作りやすくなります。
- 冒頭:完成した作品を先に見せる(例「2時間でこれが作れます」)
- 途中:道具の準備から仕上げまでを早送りで見せる
- 安心材料:スタッフが手順を教えている場面を入れる(例「初めての方にはスタッフが最初から付きます」)
- 締め:予約の方法を1つだけ案内する(例「予約はプロフィールのリンクから」)
店舗が複数あるときは、投稿のキャプションの冒頭に店舗名を書き(例「【押上店】今週の体験メニュー」)、どの店の話かがすぐ分かるようにします。予約のリンクも店舗ごとに分けておくと、見た人が迷いません。
体験した人が自分で作品を投稿してくれると、お店の発信よりも信用されやすい口コミになります。お客さまの投稿(UGC)を増やし、紹介するときの手順と注意点は、次の記事で解説しています。
成功している企業アカウントの特徴3つ
3社の事例を、自社の運用に当てはめるときのポイントは次の3つです。
インスタ運用の目的を明確にしている
3社とも、投稿の先にある行動がはっきりしています。正和堂書店なら来店して本を買うこと、CREA BASEなら体験の予約です。目的が「来店」なら、見る数字はプロフィールのアクセスや、地図・予約のリンクのタップになります。目的ごとに見る数字の決め方は、次の記事にまとめています。
ユーザー視点に立ってコンテンツを発信する

ユーザー視点の投稿とは、商品の特長ではなく「見た人の困りごとがどう片づくか」から話す投稿です。同じ商品でも、書き出しを変えるだけで伝わり方が変わります。
- 会社目線の例:「新商品のエプロンを発売しました。綿100%です」
- ユーザー目線の例:「洗濯しても肩ひもがよれないエプロンです。毎日洗う飲食店のスタッフさん向けに作りました」
何がお客さまに響いているかは、インサイトで確かめます。進め方は次のとおりです。
- 直近の投稿を10本ほど並べ、保存数とシェア数が多い順に並べ替える
- 上位3本と下位3本で、テーマ・1枚目(冒頭)の文言・形式を見比べる
- 違いを1つだけ選び、次の投稿で試す
株式会社ハッシュタグが運用に関わってきた500件以上のアカウントでも、最初の改善として、投稿の書き出しを商品の説明から「お客さまの困りごと」に変えることをよく提案しています。数字の見方と率の計算は、次の記事で解説しています。
アルゴリズムを意識した投稿
投稿をフォロワー以外にも届けるには、Instagramが何を見ておすすめを決めているかを知っておきます。公式の説明(2023年5月)では、発見タブは投稿についた「いいね!」・コメント・シェア・保存の数と速さを、リールは再シェア・最後まで見られたか・「いいね!」・音源のページへの訪問を重く見ています。以前よく言われた「滞在時間とセッション数を重視」という説明は、公式の言葉ではありません。
投稿で狙うことに置き換えると、次の3つです。
- 最後まで見てもらう:リールの最初の1秒に、結論や完成形を出す。例「このブックカバー、買った人だけがもらえます」
- 保存してもらう:後で見返したくなる情報を入れる。例「秋に読みたい文庫本5冊」のような一覧
- 送ってもらう:誰かに教えたくなる話題にする。例「本好きの友だちに送ってあげてください」と最後に一言添える
アルゴリズムの仕組みをさらに詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。運用が上手な企業に共通する点を一覧で確かめたい方には、2つ目の記事が向いています。
インスタグラムのアルゴリズムを初心者向けに解説【2026年版】インスタのアルゴリズムは、見る人ごとにどの投稿をどの順で見せるかを決める仕組みです。フィード・ストーリーズ・発見・リール…よくある質問
- 中小企業でもInstagramで成果は出せますか?
-
会社の規模では決まりません。Instagramは、フォロワーの数にかかわらず新しい人に投稿が届く機会があると公式に説明しています。この記事で紹介した書店やカフェのように、規模が小さくても「お店を選ぶ理由」を見せている企業は、多くの人に見つけてもらっています。
- 中小企業はまず何から始めればよいですか?
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運用の目的を1つ決めることから始めます。来店・予約・問い合わせのどれを増やしたいかが決まれば、投稿の締めの一言と、見る数字が決まります。そのうえで、自社だけが出せる物や体験を1つ選び、それを見せる投稿から作ります。
- ECサイトがなくてもInstagramで商品を売れますか?
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ショッピング機能は使えません。日本ではInstagramのアプリの中で支払いまでは完了せず、商品タグから自社のECサイトへ案内する仕組みだからです。ECサイトがない場合は、来店や問い合わせ、予約につなげる運用が向いています。
- 成功事例のアカウントをそのまままねしてもよいですか?
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まねしてよいのは「型」までです。投稿の文言や画像、動画をそのまま使うのは避けてください。Instagramは2026年4月にオリジナルの投稿を優先する方針を示しており、他人の投稿をそのまま使うアカウントはおすすめに載りにくくなります。
- 中小企業は、どのくらいの頻度で投稿すればよいですか?
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品質を落とさずに続けられる頻度で十分です。Instagramは投稿の回数に公式の基準を示しておらず、オリジナルの投稿を一定のペースで続けることを勧めています。たとえば「週2本、火曜と金曜」のように決め、1か月は同じペースで続けてから見直します。
まとめ
中小企業のInstagramの成功事例から学べるのは、広告費の多さではなく、「お店や商品を選ぶ理由」を投稿で見せることです。今回の3社の型は次のとおりでした。
- エシカルな暮らし:お客さまが関心を持つテーマを、商品の話より先に伝える
- Seiwado.Book.Store.:来店した人だけがもらえる物を作り、動画で見せる
- CREA BASE:「行ったら何ができるか」を最初から最後まで見せる
まずは、自社にしか出せない物や体験を1つ書き出してください。それを最初の1秒で見せるリールを1本作るところから始められます。
自社に合う発信の型や、来店・問い合わせにつなげる設計で迷ったときは、株式会社ハッシュタグでもご相談を受け付けています。
参考にした情報(2026年10月18日に確認。公式=Instagram・Metaの運営元の情報、報道=ニュースサイトの記事、企業の実例=公式アカウントの表示)
- Instagram クリエイター向けブログ(2025年1月21日、フォロワー数にかかわらず新しい人に届く機会・オリジナルを一定のペースで)(公式)
- Instagram公式ブログ「ランキングの仕組み」(2023年5月、発見タブとリールで重く見る行動)(公式)
- Instagram クリエイター向けブログ(2026年4月30日、オリジナルの投稿を優先)(公式)
- プレジデントオンライン(正和堂書店のInstagramとブックカバー)(報道)
- 文春オンライン(正和堂書店のブックカバー)(報道)
- アドタイ(2025年2月20日、正和堂書店と牛乳石鹼共進社のコラボ)(報道)
- エシカルな暮らし 公式Instagram(表示名・フォロワー数)(企業の実例)
- Seiwado.Book.Store. 公式Instagram(フォロワー数)(企業の実例)
- CREA BASE 公式Instagram(自己紹介・店舗・フォロワー数)(企業の実例)










